2026年の國學院大學は、三大駅伝のすべてで総合2位という、安定感と課題の両方が表れたシーズンを送っている。
各大会の結果を整理すると、次のとおりだ。
① 第102回箱根駅伝(2026年1月2・3日)
國學院大學は総合2位、タイムは10時間40分07秒。優勝した青山学院大学に次ぐ成績で、大学史上最高順位を更新した。往路4位から復路で順位を上げ、復路タイムは5時間20分05秒の復路新記録。箱根駅伝での総合優勝には届かなかったものの、優勝争いに加わる実力を証明した。
② 第38回出雲駅伝(2026年10月12日)
國學院大學は総合2位。記録は2時間06分54秒で、大会新記録だった。3連覇を目指した大会で早稲田大学に敗れたが、野中恒亨と飯國新太がともに区間新記録をマークした。
レース序盤には総合6位まで順位を下げたものの、4区の野中が17分14秒で区間2位、5区の飯國が17分39秒で区間3位と好走。最終6区の髙石樹が順位を押し上げ、2位でフィニッシュした。
③ 第58回全日本大学駅伝(2026年11月1日)
國學院大學は総合2位、タイムは5時間07分05秒。こちらも大学記録を更新する好成績となった。
注目は4区の飯國新太と6区の吉田蔵之介だ。飯國は33分15秒で区間賞、吉田は36分41秒で区間賞と区間新記録を獲得。野中、髙石らも後半を支えたが、優勝した早稲田大学には3分34秒及ばなかった。
この3大会を通して浮かび上がるのは、國學院大學が特定の選手だけに依存しないチームへ成長していることだ。一方で、優勝を手にするためには、ライバル校との差を最後に詰め切る力が求められる。
【現役メンバー】國學院大學陸上競技部の注目選手とチーム構成
國學院大學の駅伝を追ううえで欠かせないのが、長距離ブロックの選手たちだ。2026年度は野中恒亨を主将とし、複数の選手が三大駅伝で結果を残している。
2026年度の幹部は、公式発表によると次の構成となっている。
2026年度の主な幹部- 主将:野中恒亨 — 出雲駅伝4区の区間新記録を樹立したチームの中心選手。
- 副将:辻原輝 — 三大駅伝で経験を重ねる長距離の主力。
- 副将:吉田蔵之介 — 全日本大学駅伝6区で区間賞・区間新記録を獲得。
- 寮長:飯國新太 — 出雲駅伝5区の区間新記録、全日本大学駅伝4区の区間賞を獲得。
- 主務:西村拓真 — チーム運営を担う幹部。
野中恒亨(のなか・ひろみち)
2026年度主将・4年生
出雲駅伝4区で17分14秒を記録。全日本大学駅伝では7区を担当した。チームを代表する主力選手の一人。
飯國新太(いいぐに・あらた)
3年生・寮長
出雲駅伝5区で17分39秒の区間新記録。全日本大学駅伝でも4区区間賞を獲得し、成長著しい選手として注目される。
髙石樹(たかいし・いつき)
2年生
2026年出雲駅伝のアンカーを担当。総合順位を6位から2位まで押し上げる過程で、最終区間の重要な役割を果たした。
辻原輝(つじはら・ひかる)
4年生・副将
出雲駅伝3区、全日本大学駅伝3区を担当。長距離区間でチームを支える存在。
選手の学年・幹部構成は2026年度の公式情報に基づく。写真は各選手の紹介用イメージ。
このほか、浅野結太、鼻野木悠翔、尾熊迅斗、高石とともに全日本大学駅伝を走った吉田蔵之介など、複数の選手が大会の主要区間を担っている。
特に2026年の全日本大学駅伝では、1区の尾熊、2区の浅野、3区の辻原、4区の飯國と、各学年の選手がリレーをつないだ。主力だけでなく、チーム全体の競技力が問われる駅伝で、選手層の厚さを示した。
【歴代成績】2019年の初優勝から2026年までの躍進を振り返る
國學院大學の駅伝を語る際、2019年は大きな転換点となる。それまで大学駅伝の上位常連を目指していたチームが、ついに三大駅伝で初優勝を果たした年だからだ。
その後、2024年には出雲駅伝と全日本大学駅伝を制覇。2025年には出雲駅伝2連覇を達成し、優勝経験を積み重ねている。
國學院大學の駅伝・主要歴代成績出典:國學院大學公式発表、陸上競技部公式試合結果、箱根駅伝公式記録。
國學院大學の三大駅伝優勝回数は合計4回2026年11月現在、國學院大學が学生三大駅伝で獲得した総合優勝は、次のとおりだ。
出雲駅伝3回
2019年・2024年・2025年
全日本大学駅伝
1回
2024年
箱根駅伝
0回
2026年大会終了時点で総合優勝はなし
三大駅伝の総合優勝合計
4回
ここで注意したいのが、三大駅伝の優勝回数と大学三冠の違いだ。
大学三冠とは、同一シーズンに出雲駅伝・全日本大学駅伝・箱根駅伝のすべてで優勝することを指す。國學院大學は2024年に出雲と全日本を制して2冠を達成したが、箱根駅伝では5位だったため、三冠には届いていない。
2026年には箱根駅伝で過去最高の2位となったが、まだ箱根の頂点は獲得していない。この点を区別することが、國學院大學の歴代成績を正確に理解するポイントとなる。
【強さの理由】國學院大學が駅伝の強豪になった3つの要因
國學院大學の強さは、単純にエース選手の記録だけでは説明できない。複数の選手が大会ごとに役割を変え、異なる距離の駅伝に対応できるチーム構成が大きな特徴だ。
1.エースだけに依存しない選手層2026年の出雲駅伝では、野中と飯國が区間新記録を出した。一方、最終区間では髙石が順位を押し上げた。
全日本大学駅伝では飯國と吉田が区間賞を獲得し、野中や髙石も長い区間を担当した。大会によって活躍する選手が変わることは、選手層の厚さを示す材料になる。
駅伝は一人の好走だけで勝てる競技ではない。特に全日本や箱根のように長い距離を走る大会では、区間ごとの大崩れを防ぎ、チーム全体でタイムを積み重ねる能力が必要になる。
2.出雲・全日本・箱根に対応する総合力学生三大駅伝は、それぞれコース特性が異なる。
- 出雲駅伝: 全6区間45.1km。スピードと短い区間での展開力が重要。
- 全日本大学駅伝: 全8区間106.8km。中距離から長距離まで幅広い対応力が求められる。
- 箱根駅伝: 全10区間の往復コース。山上り・山下りを含む長距離への対応力が必要。
國學院大學は、2024年に出雲と全日本を連続制覇し、2026年には箱根を含む三大会すべてで2位となった。
異なる大会で上位を維持できることは、特定のコースだけに強いチームではなく、総合的な競技力を持つチームへ成長した証拠といえる。
3.選手同士の競争とチーム内の役割分担國學院大學の特徴として注目したいのが、主将・副将・寮長を中心とした学生主体の運営体制だ。
2026年度も野中が主将を務め、辻原と吉田が副将、飯國が寮長としてチームを支えている。競技力だけでなく、日常の生活やチーム運営に選手自身が関わる仕組みがある。
また、2026年11月の全日本大学駅伝で見られたように、各選手が異なる区間で結果を残している。主力の固定化だけでなく、選手間の競争がチームの底上げにつながっている点も見逃せない。
【前田康弘監督の指導論】非エリート集団を強豪に変えた育成哲学
監督
2009年8月監督就任
駒澤大学出身・富士通を経て指導者へ
國學院大學の成長を語るうえで、前田康弘監督の存在は欠かせない。
前田監督は駒澤大学時代に主将を務め、2000年の箱根駅伝で総合優勝を経験した。その後、富士通を経て2007年に國學院大學陸上競技部のコーチに就任。2009年8月から監督を務めている。
監督就任当時、國學院大學は現在のような駅伝強豪校ではなかった。大学駅伝の予選会で15位に終わった経験もあるチームを、出雲・全日本の優勝を狙える集団へと育ててきた。
選手との対話を重視する指導2025年1月に公開された船橋市のインタビューでは、前田監督が選手とのコミュニケーションを重視していることが紹介されている。
当時、部員は60人以上。主力選手だけでなく、部員一人ひとりと時間を共有することを意識し、体重や筋肉量などのデータも把握しているという。
また、指導者が一方的に指示を出すのではなく、選手自身が納得できる伝え方を大切にしている。故障や不調の際のフォローにも力を入れており、競技力だけでなく選手の成長を支える指導が特徴だ。
2026年11月発売『導く~想いを繋げる~』に注目
著者:前田康弘
出版社:カンゼン
208ページ・定価2,090円(税込)
2026年11月4日には、前田監督の著書『導く~想いを繋げる~』が発売された。
本書では、國學院大學を駅伝の強豪に変えた「人を育てる」チームづくりが取り上げられている。
主なテーマは次のとおりだ。
- 自主性とキャプテン主導のチームづくり
- 勝つためのスカウト戦略
- チームを整えるマネジメント
- 競争を促す練習や指導者の役割
- 箱根駅伝の区間配置と、その先の選手育成
特に興味深いのは、全国トップクラスの選手を集めることだけを強さの条件とせず、選手自身が成長できる環境を整えることに重点を置いている点だ。
2024年の大学駅伝2冠や2025年の出雲駅伝連覇、2026年の三大会連続2位という実績を理解するうえでも、指導者側からチームづくりを考える貴重な資料となる。
【今後の注目点】箱根駅伝初優勝と次世代への継承
2026年11月現在、國學院大學が次に目指す大きな目標は、箱根駅伝の総合優勝だ。
2026年の第102回大会では、10時間40分07秒という大学最高順位・大学記録を達成した。過去最高の3位を上回る2位まで順位を伸ばしたことは、箱根制覇に向けた重要な前進だ。
しかし、2026年の三大駅伝ではすべて2位。安定して上位に入る力は十分に示した一方、最後に優勝をつかむための競争力が次の課題として残った。
次の箱根駅伝で注目したい3つのポイント1.4年生の経験をどう次世代へつなぐか
野中、辻原、吉田ら現在の4年生は、三大駅伝の経験を積んできた中心メンバーだ。卒業後を見据え、浅野、飯國、髙石ら次の世代がどのようにチームを引き継ぐかが重要になる。
2.区間配置の最適化
箱根駅伝では、山上り・山下りを含む10区間で選手の特性を生かす必要がある。トラックや出雲でのスピードだけではなく、長い距離を安定して走る選手の育成と配置が勝敗を左右する。
3.優勝争いの終盤で差を縮められるか
2026年の出雲では早稲田大学に58秒、全日本では3分34秒の差をつけられた。箱根でも青山学院大学に3分33秒及ばなかった。
大会ごとの距離や展開は違うが、いずれも最後にトップへ届かなかったという共通点がある。個人記録の更新だけでなく、チームとして勝ち切るためのレース運びが問われる。
國學院大學駅伝の公式Xで試合結果を確認する方法
國學院大學陸上競技部公式X
公式Xアカウント「@kokudai_ekiden」は、マネージャーが運用しており、長距離ブロックを中心とした大会情報や試合結果、チームの近況を発信している。
大会当日の速報やチームのコメントを追いたい場合に便利だ。一方、詳しい区間記録や正式な大会結果については、國學院大學陸上競技部の公式ホームページに掲載される試合結果を確認するのが確実だ。
2026年11月6日時点で、次の箱根駅伝に向けたチームの動向を追うなら、公式Xと公式サイトを併用すると、選手の近況と確定記録の両方を把握しやすい。
【國學院大學駅伝】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:國學院大學駅伝の2026年最新成績は?
A1:2026年の箱根駅伝、出雲駅伝、全日本大学駅伝のすべてで総合2位を獲得した。箱根は10時間40分07秒、出雲は2時間06分54秒、全日本は5時間07分05秒だった。
Q2:國學院大學の三大駅伝の優勝回数は何回?
A2:2026年11月現在、合計4回。内訳は出雲駅伝3回(2019年・2024年・2025年)、全日本大学駅伝1回(2024年)。箱根駅伝の総合優勝はまだない。
Q3:野中恒亨と飯國新太は2026年にどんな記録を残した?
A3:2026年の第38回出雲駅伝で、ともに区間新記録を樹立した。野中は4区17分14秒、飯國は5区17分39秒。飯國は11月の全日本大学駅伝でも4区区間賞を獲得している。
Q4:國學院大學の前田康弘監督はいつ就任した?
A4:2009年8月に監督へ就任した。2007年からコーチを務め、2019年の出雲駅伝初優勝、2024年の出雲・全日本大学駅伝2冠などを実現している。
Q5:國學院大學駅伝の強さの理由は?
A5:選手層の厚さ、選手同士の競争、前田康弘監督による対話を重視した育成が主な要因として挙げられる。複数の選手が異なる大会・区間で結果を残していることが、その強さを裏付けている。
國學院大學の駅伝は、2019年の出雲駅伝初優勝を出発点に、2024年の大学駅伝2冠、2025年の出雲駅伝2連覇を経て、大学駅伝界を代表する強豪へと成長してきた。
2026年は箱根・出雲・全日本のすべてで2位。野中恒亨と飯國新太の区間新記録、髙石樹の最終区間での力走、全日本での飯國と吉田の区間賞など、チームの競争力を示す成果も多かった。
その成長を支えてきた前田康弘監督の指導論は、2026年11月4日発売の『導く~想いを繋げる~』でも取り上げられている。
今後の評価を左右するのは、優勝回数を積み上げられるか、そして最大目標である箱根駅伝の頂点に届くかという点だ。2026年までに培った経験を次世代へ継承し、総合2位から総合優勝へ進めるか。國學院大學の駅伝は、さらなる歴史をつくる勝負の段階に入っている。