SMAP解散後、飯島氏が新たな活動の拠点としたのが株式会社CULEN(カレン)だ。2016年7月に設立された同社は、芸能マネジメントだけでなく、映像や映画などのコンテンツ制作にも関わっている。
その代表的な活動が、稲垣吾郎、草彅剛、香取慎吾の3人による「新しい地図」の展開である。従来のテレビ中心の活動だけに依存せず、インターネット、映画、舞台、音楽、ファンコミュニティなど複数の接点を組み合わせた活動スタイルを築いてきた。
『ミッドナイトスワン』で証明した映画プロデュース力『ミッドナイトスワン』(2020年)
飯島氏の映画プロデュース実績を語るうえで欠かせない作品が、2020年9月25日公開の映画『ミッドナイトスワン』だ。
同作は内田英治監督、草彅剛主演の映画で、飯島氏はエグゼクティブプロデューサーを担当した。トランスジェンダーの主人公・凪沙と、孤独を抱える少女・一果の関係を描いた作品である。
2021年3月に開催された第44回日本アカデミー賞では、同作が最優秀作品賞を受賞。主演の草彅剛も最優秀主演男優賞に選ばれた。
この受賞は、CULENがタレントのマネジメントにとどまらず、映画という独立したコンテンツの制作にも関わっていることを示す実績となった。
日本映画データベース(JFDB)には、飯島氏のプロデューサー関連作品として『座頭市 THE LAST』(2010年)、『ミッドナイトスワン』(2020年)、『犬も食わねどチャーリーは笑う』(2022年)などが掲載されている。
飯島三智のプロデュース手腕が評価される理由飯島氏の仕事には、アーティスト本人の個性を生かしながら、活動するメディアや接触するファン層を広げていくという特徴がある。
具体的には、次の3点が評価のポイントとなる。
1.個性を生かしたマルチタレント戦略
アーティストを音楽活動だけに限定せず、バラエティー、ドラマ、映画などへ展開する。SMAPのマネジメントで知られるこの手法は、メンバーそれぞれの認知度や表現力を高めることにつながった。
2.コンテンツを横断する企画力
映画、映像、テレビなど、異なるメディアを組み合わせて作品やアーティストの魅力を届ける。『ミッドナイトスワン』のような映画プロジェクトも、その経験を示す一例だ。
3.ファンとの長期的な関係構築
新しい地図の活動では、ファンサイトやオンラインを含む複数の接点を活用してきた。HYBE JAPANが今回の就任発表でファンダムの重要性に触れたこととも共通する部分がある。
この3つの強みは、今回のHYBE JAPANへの参画にも直結する。日本市場でアーティストを育て、音楽以外のコンテンツにも活動を広げ、ファンとの関係を継続的に築くという考え方だ。
【HYBE就任理由】HYBE 2.0とマルチホーム・マルチジャンル戦略の関係

飯島氏のHYBE JAPAN就任を理解するには、HYBEが進めている成長戦略「HYBE 2.0」を知る必要がある。
HYBEは2024年8月1日、新たな事業戦略としてHYBE 2.0を発表した。音楽、プラットフォーム、テクノロジーを基盤とする未来成長事業の3領域に事業を再編し、韓国だけでなく、米国、日本、ラテンアメリカなど各地域で事業を拡大する方針を示した。
マルチホーム・マルチジャンルとは?マルチホーム・マルチジャンル戦略とは、各国・地域の文化や市場特性に合わせて独自のアーティストやコンテンツを開発し、さらにジャンルの幅を広げる事業戦略である。
従来のように韓国で成功したアーティストを海外へ展開するだけではなく、日本市場には日本市場に合ったIPを育てるという考え方が含まれている。
HYBEは2025年2月、日本のレーベルであるHYBE LABELS JAPANをYX LABELSへ改称した。さらに2026年1月には、日本発の時代を象徴するアイコンの創出を掲げる新レーベル「JCONIC」を設立している。
こうした動きからも、飯島氏の起用が単独の人事ではなく、日本市場で独自のIPを育成する事業方針の延長線上にあることが分かる。
なぜ飯島三智氏が選ばれたのかHYBE JAPANが発表した起用理由は、大きく分けて2つある。
第一に、日本の芸能界におけるアーティストのマネジメントとプロデュースの経験だ。日本のテレビ、映画、音楽業界の商慣習や視聴者・ファンの嗜好を理解している人物を起用することは、現地市場に根差したIPを開発するうえで合理的な選択と考えられる。
第二に、HYBEが持つグローバルな事業基盤との補完関係だ。アーティスト育成の仕組みやファンプラットフォームなどの基盤に、日本市場で培われた企画・プロデュースの知見を組み合わせることができる。
HYBE JAPANが提供する強み
グローバルなアーティスト育成システム、マルチレーベル体制、ファンプラットフォーム、海外展開の基盤。
飯島三智氏が持ち込む経験
SMAPのマネジメント、マルチタレント型のプロデュース、映画・テレビ・映像を横断するコンテンツ企画。
期待される相乗効果
日本独自のアーティストIPの創出、コンテンツの多角化、ファンコミュニティの育成とグローバル展開。
つまり、HYBE側にとって飯島氏は、単なる著名マネージャーではない。日本のエンターテインメント市場に根差した企画力を持つプロデューサーとして、グローバル企業の仕組みと日本独自のカルチャーをつなぐ役割を期待されている。
なお、HYBE JAPANの会長キム・ヨンミン氏も、飯島氏の実績や洞察、アーティストへの理解を評価し、同社のグローバルインフラとの相乗効果に期待を示している。
【今後の展望】飯島三智がJ-POPにもたらす変化とは?
今回の就任で最も注目されるのは、飯島氏がこれまで培ってきた日本型の芸能マネジメントと、HYBEのグローバル型のIPビジネスがどのように融合するかという点だ。
1.日本発の新しいアーティストIPの誕生まず期待されるのは、日本の文化やストーリーを生かした次世代アーティストの育成である。
HYBE JAPANは、アーティストを単にデビューさせるだけではなく、ブランドや作品世界、ファンとの関係まで含めてIPを育てる仕組みを持つ。飯島氏が持つ日本のテレビ・音楽・映画業界への知見が加われば、日本市場の視聴者に届きやすい企画の立案につながる可能性がある。
2.音楽と映画・テレビを組み合わせた展開飯島氏の過去の実績から考えると、音楽活動と映像コンテンツを連動させるプロデュースにも期待が集まる。
例えば、アーティストの活動を音楽作品だけで終わらせず、ドキュメンタリー、ドラマ、映画、テレビ番組などへ広げる方法だ。こうした展開は、アーティストの人間的な魅力を伝え、音楽を普段あまり聴かない層にも接点を作れる。
ただし、これは飯島氏の過去の仕事とHYBEの発表内容から考えられる展開であり、具体的な制作計画が発表されたわけではない。
3.ファンダムを中心にした事業の拡大HYBEが力を入れているのが、アーティストとファンをつなぐプラットフォーム事業だ。代表例のWeverseは、ファンコミュニティやアーティストとの交流、関連サービスを提供するプラットフォームとして展開されている。
飯島氏が就任時のコメントでファンダムの可能性に言及したことは、今回の人事を考えるうえで要点だ。
SMAP時代から長くアーティストを応援してきたファンとの関係、新しい地図での活動、HYBEのファンプラットフォーム事業には、ファンとの継続的な関係を重視するという共通点がある。
今後の動向を判断するためのチェックポイント2026年11月時点で、読者が今後注目したいのは次の4点だ。
- 飯島氏が企画・プロデュースを担当する新しいJ-POPアーティストやグループの発表。
- 新規IPのオーディション、育成、デビューに関する公式情報。
- 音楽と映画・ドラマ・映像を連動させる新しいプロジェクト。
- CULENとHYBE JAPANそれぞれの活動における新たな展開。
これらが明らかになれば、今回の就任が日本の音楽業界にどの程度の影響を与えるのか、より具体的に評価できるようになる。
ネット上で混同されやすい3つの情報飯島氏をめぐる話題では、過去のSMAP解散報道と2026年のHYBE人事が一緒に語られることもある。次のように整理しておきたい。
| よくある認識 | 確認できる事実 |
|---|---|
| SMAP全員がCULENに所属している | 新しい地図の中心メンバーは稲垣吾郎、草彅剛、香取慎吾の3人。 |
| HYBE就任によってCULENを辞めた | CULENの経営・プロデュース業務も継続すると発表されている。 |
| HYBEで新グループのデビューが決まった | 就任発表では特定のグループ名やデビュー日は公表されていない。 |
特に重要なのは、HYBEへの就任をSMAPの再結成や新しい地図のHYBEへの移籍と結びつけないことだ。今回の発表で確認できるのは、飯島氏個人が新たなプロデュース職を担い、CULENの仕事も継続するという事実である。
【飯島三智の現在】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:飯島三智氏は2026年現在、何をしている?
A1:株式会社CULENの代表取締役として経営・プロデュース業務を続けるとともに、2026年7月7日からHYBE JAPANのJ-POPエグゼクティブプロデューサーを務めています。
Q2:飯島三智氏はHYBE JAPANにいつ就任した?
A2:2026年7月7日にHYBE JAPANが正式発表しました。J-POP領域のローカルIP開発や次世代アーティスト育成などを担う役割です。
Q3:飯島三智氏はなぜHYBE JAPANに就任した?
A3:HYBE JAPANが評価したのは、SMAPなどのマネジメントで培ったマルチプロデュース力と、映画・映像・テレビを横断するコンテンツ制作の知見です。HYBEのグローバルな育成システムやプラットフォームとの相乗効果が期待されています。
Q4:飯島三智氏はCULENを辞めた?
A4:辞めていません。HYBE JAPANの就任発表では、CULENの経営およびプロデュース業務を継続すると明記されています。
Q5:飯島三智氏はSMAPの誰を担当していた?
A5:SMAPのチーフマネージャーとして知られています。独立後は稲垣吾郎、草彅剛、香取慎吾の3人による新しい地図の活動を支えるCULENの代表として活動しています。
Q6:飯島三智氏がHYBEで新しいグループをプロデュースする予定は?
A6:J-POPの新規IP開発や次世代アーティストの育成は公式発表されています。ただし、2026年7月の就任発表では、担当グループや具体的なデビュー時期までは明らかにされていません。
Q7:飯島三智氏がプロデュースした代表的な映画は?
A7:代表例は2020年公開の『ミッドナイトスワン』です。飯島氏はエグゼクティブプロデューサーを務め、同作は2021年の第44回日本アカデミー賞で最優秀作品賞を受賞しました。
飯島三智氏は、SMAPのチーフマネージャーとして日本の芸能界で実績を積み、2016年のCULEN設立後は新しい地図の活動や映画プロデュースなど、新たな領域に挑戦してきた。
そして2026年7月7日、HYBE JAPANのJ-POPエグゼクティブプロデューサーに就任。CULENの代表取締役としての仕事を続けながら、日本発の新しいアーティストやエンターテインメントIPの開発に関わることになった。
今回の人事の本質は、SMAP時代に培われた日本型のマルチプロデュース力と、HYBEが持つグローバルなアーティスト育成・ファンダム事業の融合にある。
今後の評価を左右するのは、肩書の大きさではなく、実際にどのようなアーティストや作品を生み出すかだろう。CULENでの活動を維持しながら、HYBE JAPANでどのような新しいJ-POPの可能性を示すのか。飯島三智氏の次のプロデュース作品と、新たなアーティストIPの発表が注目される。